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第七ノ話 時を経た茶壺 〜茶壺曼陀羅 其ノ七〜

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七つ目の夜のお話は、昔の茶壺の話。
土の色に魅せられた茶壺の話。

 愛称 :民国
 容量 :180cc
  色 :赤紫のかかった焦茶に星
 購入店:海風號
購入時期:2004年4月23日
 値段 :(私的には)清水の舞台から飛び下りた感じ
 作者 :不明
 用途 :単ソウ全般
 惚れ点:色、形、全て。
 弱点 :平たいので、茶葉が捨てにくい&洗いにくい。

実は、一目惚れではなかった。
矯めつ眇めつしているうちに、手放せなくなっていった。

中国が、中華民国という名だった頃の作。
平たいフォルムと、チョコレートブラウンの土色。
滑るような肌触り。流れるような漢字の並び。
全くの類似品を見る事はないだろう点も、気に入った。
多分、もっと良い、もっとすごい茶壺はいくらもある。
でも、この茶壺に魅せられたのだ。

使い始めて、一ヶ月も経たないうちに茶壺は育ち始めた。
光の加減によるのだが、微妙に赤紫がかって見えるようになったのだ。
設楽さんによると鉄の混ざった土だからとのことだったが、こんな変化を見せる土には会った事がなかったので、非常に面白く使っている。

また、茶の味に関しても、茶壺対決の際に分かったのだが、きっちり全ての味わいを出してみせてくれる茶壺だ。
丁寧な仕事をする職人、そんなイメージである。

結局のところ、土の持つ力が茶壺をこれだけ良い道具に仕立て上げている。
今はもう出ないであろう、そんな土が、普通に茶を美味しくしていた時代。
私の祖母や曾祖母が生きていたであろう時代のものが、私の手許にある。
多分、ずっとずっと使い続けるだろう。。。


実は、一目惚れではなかった。
使い続けているうちに、離れられなくなってしまった。
そういう茶壺に出会えた。

      。。。番外ノ話へ続く

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