ここんとこの読書
“使い回し”
福井春敏「終戦のローレライ」(文庫全4巻)読了。ドロップアウトした厳つい熱血中年男性と兵器の様に鍛え抜かれ感情を殺した若者の交流を中心に話が広がる、というワンパターンからの脱却にほっとする。ちょっと今までに無いタイプの太平洋戦争もの。荒唐無稽な設定もそんなに気にならないのは、個々の人間描写がきちんと出来ているからだと思う。最後の椰子の実を唄いながら被弾していくシーンは、映画だったら絶対泣く。うう。
内田樹「子供はわかってくれない」、ネットの文章を文庫化したもの。「フェミニズムは過去の遺物」話があちこちで盛り上がっていたので、興味を持って購入。そうそう!と手を打つ章も、どうよ?と首を傾げる章も、どちらも曖昧な事象や思いを明確に言語化する意識が張り詰めていて、面白い。買わなくてもBlogで読めるので、興味のある方はどうぞ。→こちら
都筑道夫「なめくじに聞いてみろ」、ふざけたタイトルに見合った奇抜な発想のアクション(?)。もう設定からして人を喰ってるんだけど、不思議にめちゃくちゃ格好良いのですよ。「そんな馬鹿な」と突っ込みつつ、惚れ惚れみたいな。昭和初期の美学に、シビレます。
恩田陸の「ライオンハート」。ロマンチックだ。人はこんなにもプラトニックに一瞬の為に生きていけるものなのだろうか。
夢枕獏「奇譚草子」。なんとなくどこかで読んだ事のある話ばかりのような気が。ヒトニ茸なんて、ほぼ諸星大二郎じゃない。
後は、反芻読書。石田衣良の「池袋ウエストゲートパーク 骨音」、「池袋ウエストゲートパーク 電子の星」、「池袋ウエストゲートパーク外伝 ルージュノワール」。IWGPシリーズは巻を追う毎に少しずつ失速していっている感が否めないが、上手いのは上手いのだ。外伝の勢いが好き。
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Comments
なめくじに聞いてみろ、ですか。
なんて懐かしい!
でも中味はすっかり忘れています。
というわけで、早速本棚の奥から取り出して読み始めたところです(笑)
Posted by: smash | 2006.06.27 11:49 PM
ま!smashさん、ご存知でしたか〜。(^^)
古本屋さんで、タイトル買いしてしまったのですが、当り!で嬉しい一冊でした。
smashさんもお持ちという事は、これはミステリ分類で良いのでしょうか?
Posted by: 恵 | 2006.06.28 12:16 AM