アラビアの夜の種族
“既出写真”
読了に一年。長い道程だった。
古川日出男のアラビアの夜の種族。
翻訳もの特有の読み難さを意図して演出しているので、面白くて読み進みたいのに読み難くて躊躇するというジレンマに陥ってなかなか読み進めなかった。
第三部以降は、怒濤の勢いだったのだけれど。嗚呼、長かった。
物語の入れ子構造に、綺麗な伏線、冒険譚が愛の物語になり人生になり、いやはやお腹いっぱい。
ジンニーアが妙に気っぷのいい江戸っ子風なのが好き。
主人公三つ巴の行く先の見えなさが、凄い。
入れ子の外側が最後にどんでん返しをする意外さに参る。
凝り性過ぎる作者に半ば呆れつつ敬意。やり過ぎ、でもそういうの好き。
案外、物語をきちんと読了する幸せを噛みしめる、という単純な感想に落ち着いても良いのかもしれない。
内容から言っても、読み難さから言っても。
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