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邪魅の雫

“紅はベタ過ぎ”
B911

京極堂シリーズ最新刊、本日読了。今回いつものメンバーがなかなか出て来ないので最初は読書スピードが上がらなかったのですが、中盤以降は一気でした。京極堂モノとしても物語の手法としても、非常に面白く読ませてもらいました。
以下、内容に関してのネタバレを含む感想です。未読の方はご注意下さい。
 
 
 
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京極堂シリーズを読んで泣いたのは、初めてです。今回の憑き物落としの幕切れと、ラストのやるせなさには参りました。そして、ますます榎木津が好きになってしまいましたよ。格好良過ぎ。

今回の物語は、それぞれの事件の主観の違いにより普通の事件が多面体の様に入り組んでしまうミステリーであり、傍若無人で奇天烈な探偵が“キャラクター”としてではなく“人”として存在する為の物語のような気がします。
前者に関しては、実際いつものような密教や立川真言のような異質な世界でなく市井の事件がメインであり、憑き物落としも普通のミステリーの解決に近く意外な程。しかも妖怪の見立てもないに等しく、主観と客観・立場の違い等の当たり前の視点の違いによるズレの構築を上手い具合に物語を作る手法にリンクさせてるのがまた面白いです。また、いつもは脇にいる警察の面々が「ミステリーにおける警察の立ち位置」をきちんと守っているように感じます。
そして後者。歯切れの良い関口、調子の出ない益田、榎木津を気遣う京極堂と、キャラクターの揺らぎがあった上での榎木津のあの言動。一歩間違うとメロドラマなんですが、基本の榎木津のあの奇天烈キャラクターがあるからこそ、その落差の間の一種の悲哀が垣間見えてシーンが締まって見えるのでしょう。というのは買い被り?(笑)超人が超人として世界と相容れない運命にあるからこその弱さ(あるいは哀しさ)、そういうものを考えました。

だから、いつもの京極堂が好きな人には物足りないかもしれません。
でも、私はこの話がとても好きです。

余談:「しずく」と平仮名で書いただけなのに、ものすごく邪悪に見えた。感化され過ぎ。

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